グレアのない照明環境をつくるための基本

照明設計で「明るさ」と同じくらい重要なのが「まぶしさのなさ」です。グレア(眩輝)は、視野内に輝度の高い光源が直接見える状態で、長時間過ごすと疲労感につながります。40代以降はグレアへの感度が上がるため、住宅照明ではグレアの排除が特に重要な設計課題になります。
グレアとは何か、なぜ問題になるのか
グレアには大きく二種類あります。一つは「不快グレア」で、光源が直接目に入ることで不快感が生じる状態です。もう一つは「減能グレア」で、強い光によって視力が低下し、細かいものが見えにくくなる状態です。住宅の照明設計で問題になるのは主に不快グレアで、長時間の居住空間では特に影響が出やすいです。
加齢に伴い水晶体が変化すると、光の散乱が増えてグレアへの感度が上がります。50代以降の方が「以前は気にならなかった照明がまぶしく感じる」と言うのは、この変化によるものです。
遮光角の確保が基本
グレアを防ぐ最も基本的な方法は、器具の遮光角を確保することです。遮光角とは、光源が直接見えなくなる角度のことで、一般的に30度以上が推奨されます。ダウンライトの場合、深型のものを選ぶか、ルーバーやグレアカットリングを取り付けることで遮光角を確保できます。
器具のカタログには遮光角が記載されていますが、実際の設置状況(天井高・視線の高さ・器具の向き)によって体感は変わります。カタログの数値だけで判断せず、可能であれば実物のサンプルを実際の空間で確認することを勧めています。
間接照明を主体にした設計の考え方
グレアを根本的に排除する方法の一つは、光源を直接見せない間接照明を主体にした設計です。天井や壁に光を当て、その反射光で空間を照らす方法は、光源が視野に入らないため、グレアが発生しません。
ただし、間接照明だけでは手元の作業に必要な照度が確保できないことがあります。読書・料理・化粧など、局所的に高い照度が必要な場所には、グレアカットされた局所照明を補助的に使う構成が現実的です。
グレアの問題は、器具を変えるだけで解決することもあります。照明リノベーション診断では、現在の照明環境を現地で確認し、改善の優先順位をお伝えしています。